海外サービスの請求書を円に換算する方法

所得税基本通達57の3-2では、外貨建取引は取引日のTTM(電信売買相場の仲値)で円に換算するのが原則で、事業所得などの計算では継続適用を条件に経費をTTSで換算することもできます。カード明細の円額はカード会社のレートと手数料で決まるため、請求書の外貨額×TTMとは一致しません。外貨額・レート・円換算額・カード請求額を並べて記録しておきましょう。

2026年10月18日 確認

要点

  • 通達の原則は、取引日の対顧客直物電信売買相場の仲値(TTM)による円換算です。
  • 事業所得などの計算では、継続適用を条件に、経費は取引日のTTSによることができ、前月末の相場や前月の平均相場なども使えます。
  • カード明細の円額は、国際ブランド側のレートに海外事務手数料を加えたもので、換算日もご利用日と異なります。
  • どの金額で記帳するかは税理士に確認し、決めた方法を続けてください。

TTM・TTS・TTBの違い

銀行が公表する外国為替相場には主に次の3つがあり、通達では「電信売相場」「電信買相場」「電信売買相場の仲値」という用語が使われています。

通達57の3-2の(注)1では、これらの相場は原則としてその人の主たる取引金融機関のものによることとし、合理的なものを継続して使用している場合はそれも認めるとしています。

略称通達での呼び方意味通達上の使い方
TTM電信売買相場の仲値TTSとTTBの中間の相場原則
TTS電信売相場銀行が顧客に外貨を売るときの相場(円を外貨に替えるとき)経費・負債(継続適用が条件)
TTB電信買相場銀行が顧客から外貨を買うときの相場(外貨を円に替えるとき)売上・資産(継続適用が条件)

国税庁の通達が定めていること

所得税法第57条の3は、外貨建取引の金額を、その取引を行った時の外国為替の売買相場により円に換算すると定めています。具体的な扱いは所得税基本通達57の3-2にあります。

原則は、その取引を計上すべき日(取引日)のTTMです。ただし、不動産所得・事業所得・山林所得・雑所得を生ずべき業務の所得計算では、継続適用を条件に、売上その他の収入や資産は取引日のTTB、仕入その他の経費や負債は取引日のTTSによることができます。

(注)2では、継続適用を条件に、取引の内容に応じて合理的と認められる相場として、取引日の属する月や週の前月末・前週末、当月・当週の初日の相場や、前月・前週の平均相場のように1月以内の一定期間の平均値も使えるとしています。(注)3では、その日に相場がない場合は同日前の最も近い日の相場によるとしています。

法人の場合は、法人税基本通達13の2-1-2に同じ考え方の定めがあります。

カード明細の円換算額が一致しない理由

カード会社は請求書の日付のTTMで換算しているわけではありません。たとえばゆうちょ銀行のJP BANKカード(Visa・Mastercard)は、決済センターに売上データが到着した時点の国際提携組織が指定する為替レートに、海外事務手数料を加えたレートで円に換算すると案内しています。

同じ案内では、レート換算日はカードを実際に使った日とは異なり、目安はご利用日から2〜4日後とされています。また、明細に記載される換算レートは海外事務手数料を加算したものです。

つまり、①日付(売上データの処理日)、②レート(国際ブランド側のレート)、③手数料(海外事務手数料)の3点で、請求書の外貨額×取引日のTTMとずれます。手数料率はカードによって異なります。

記帳の例

次の数字はすべて説明用の架空のものです。海外のSaaSから9月1日付で20.00ドルの請求書が届き、クレジットカードで支払ったとします。

帳簿には外貨額・適用レート・レートの日付と種類・円換算額を残し、カード明細の円額も別の列に記録しておきます。通達どおり取引日のTTMで記帳する場合、カード請求額との差額をどう扱うかは税理士に確認してください。カード明細の円額をそのまま使いたい場合も、通達との関係を税理士に確認してから決めましょう。

項目例(架空)
取引日9月1日
外貨額20.00ドル
取引日のTTM(取引銀行の公示相場)1ドル=147.50円
TTMによる円換算額2,950円
カード明細の円額3,067円
差額117円(換算日・レートの違いと海外事務手数料)

記帳用スプレッドシートの列

請求書1枚を1行にして、次の列を用意します。円換算額とカード明細の円額を並べておくと、差額の理由を後から説明しやすくなります。

  • 取引日(請求書の日付)
  • 取引先
  • 内容(例:「チームプラン9月分」)
  • 通貨(USD、EURなど)
  • 外貨額(請求書の合計)
  • 適用レート
  • レートの日付と種類(例:取引銀行のTTM)
  • 円換算額
  • カード明細の円額
  • 支払方法(カード名と下4桁)
  • 登録番号(請求書に記載があれば)
  • ファイル名
  • 備考(返金、年額プランの期間など)

よくあるつまずき

  • 休日の取引:通達の(注)3により、その日に相場がない場合は同日前の最も近い日の相場を使います。
  • 年額プラン:請求日とサービス期間が異なります。取引日は請求書の日付で記録し、期間は備考に残しましょう。
  • 返金:返金は別の行で記録し、カード会社が実際に返金した円額を残します。換算日が違うため、元の請求額と一致しないことがあります。
  • 円建ての請求書:最初から円で請求されていれば換算は不要です。なお通達57の3-1は、金額が外貨で表示されていても支払が円で行われることとされている取引は外貨建取引に当たらないとしています。
  • 登録番号:海外のサービスでも、請求書に「T」で始まる登録番号が載っていることがあります。国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで登録状況を確認できます。
  • 1つのPDFに複数の請求書:請求書ごとに分け、1行が1つの書類を指すようにします。

Paidwhere

外貨額と実際の請求額を同じ台帳に

近日公開予定のデスクトップアプリPaidwhereは、外貨の請求書を請求書の日付で換算します(欧州中央銀行の参照レートを使用)。カードで実際に請求された金額を入力すると、その金額が換算額に置き換わります。どのレートで記帳するかは税理士にご確認ください。

いますぐ使える無料のInvoice to CSV変換ツールは、テキストのPDF請求書をブラウザ内で表に変換します。ファイルがパソコンの外に送られることはありません。

よくある質問

TTMはどこで確認できますか。
通達の(注)1では、原則としてその人の主たる取引金融機関の相場によるとしています。取引のある銀行が公表している外国為替の公示相場を日付ごとに確認し、出典として記録しておきましょう。合理的なものを継続して使っている場合はそれも認めるとされています。
土日に決済した請求書はどのレートを使いますか。
通達の(注)3(1)では、その日に為替相場がない場合は同日前の最も近い日の相場によるとしています。土日の取引なら、通常は直前の営業日の相場がこれに当たります。
月の平均レートを使ってもよいですか。
(注)2(2)では、継続適用を条件に、取引の内容に応じて合理的と認められる場合、前月や前週の平均相場のように1月以内の一定期間の平均値を使えるとしています。使えるかどうかと、どの期間の平均を使うかは税理士に確認してください。
カード明細の円額で記帳してもよいですか。
通達の原則は取引日のTTMで、カード会社の円額は換算日・レート・手数料が異なります。カード明細の円額を使う場合の扱いはご自身の状況によるため、税理士に確認してから方法を決め、決めた方法を続けてください。
海外事務手数料はどう記録すればよいですか。
たとえばJP BANKカードでは、明細に記載される換算レートに海外事務手数料が含まれています。カード明細の円額と、請求書の外貨額×TTMの両方を記録しておけば、差額として把握できます。手数料の扱いは税理士に確認してください。

参照した公式情報

以下の公式ページと照らし合わせて確認した内容です。メニュー名は変わることがあるので、画面が違う場合は元のページをご確認ください。

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